ランキングサイトや口コミによる名誉毀損で提訴
口コミやランキングには、肯定的なものから否定的なもの、あるいは誹謗中傷・傍観者的なものまでいろいろある。口コミは度が過ぎれば炎上し、人気ランキングは嘘八百が大半だから、ネット業者の都合でランキングをしていると訴訟沙汰にされる。
ネットは公共の乗り合いバスと同じ。見たことも会ったこともない乗客に、いきなり「お前は一番」、「アンタは二番」、「お前は最下位」などと順位づけして車内をウロウロされたら、誰だって気分を害する。喧嘩になっても仕方ないとさえ思う。
実際に2014年には、リフォーム業者がランク付けされたサイトの運営者を訴えて、その結果、勝訴した。訴えた理由は、意味もわからず知らないうちに、ランキングサイトで最下位とされていたからだ。名誉毀損と営業妨害で訴えた。
訴訟を担当した京都地裁は、「ランキングには事実を裏付ける証拠がない」、「権利侵害は明白だ」と判断した。サイト、サーバーの運営会社には管理者のIPアドレスの情報開示など、相応の命令と罰金刑が下された。
以来、1年のうちにランキングや口コミなどでかなりの数の訴訟問題が起き、その数は増加の一途をたどっている。弁護士が、口コミの首謀者はじめ十数名を名誉毀損で訴え、勝訴した案件は記憶に新しい。口コミの尻馬に乗って卑劣な書き込みを行なっていた中には、未成年の男女もいたと言う。
口コミによる事案は7倍にも増加している悲しい現実
法務省の人権擁護機関によると、2016年に救済手続きを開始した新規の人権侵犯事件数は1万9443件(前年比7.4%減)と落ち着いたものの、インターネットへの口コミを巡る事案は1909件と、10年間で7倍近く増加していることがわかった。サイバーテロもランキングや口コミの訴訟も人ごとだと思っているネットユーザーやサイト運営者がいたら、気をつけてもらいたい。
医療用ウィッグのランキングも当たり前のようになされているが、ランキングづけに根拠がなければ、訴訟の対象になる。また医療用ウィッグなどというニッチなものなのに、体験者のふりをして口コミの尻馬に乗っていたら、それも訴訟の対象になる。
医療用ウィッグでも訴えられる可能性のある人・行為・業者
- ネット上に人権侵害情報をもたらした首謀者。
- 誹謗中傷して意図的に被害者を作り出した人。
- 根拠のない口コミに同調して書き込みを行なった人。
- 医療用ウィッグを使っていないのに利用者になりすました口コミ。
- 根拠のない人気ランキングを掲示したサイト運営者。
- 根拠がないと指摘され、削除要請に従わなかったサイト運営者。
- 特定の医療用ウィッグ商品等に故意に誘導し被害を与えた者。
ネットはこれまで無法地帯だったが、提訴する被害者側の心のハードルは下がりつつある。弁護士は勝訴する案件が大半なので、依頼されれば二つ返事で引き受ける。昔のようなわけにはいかなくなっているので、商売のための根拠なきランキングからは手を引いた方がいい。
医療用ウィッグを着用している人は多いが、実際にそうである人は、口コミ情報を頼りにしている人が多い。自分や家族のための平穏な日常づくりに忙しい中、有効な情報を求めて限られた時間の中で検索をつづけている。暇つぶしや面白半分で行なう行為は、そうした人たちの足を引っ張ることになる。