口コミにあった健康経営制度とウィッグとは
最近になって「健康経営」ということがよくニュースで取り上げられるようになりました。健康経営とは、正式名称が「健康経営優良法人認定制度」というもので、健康経営に取り組む企業等を積極的に表彰していこうという制度。
たとえば社員の生活習慣や食習慣のアドバイス、就業時間中の昼休みの昼寝の推進や適度な運動の奨励、リラックスルームの開設、健康診断室の常設など。企業や組織によって取り組みはさまざまですが、肥満系の社員が体重を1キロ減らすだけで1000円の報奨金を給与に加算するといったユニークな試みをする会社などもあります。
社員食堂で、管理栄養士が必要に応じて摂取の順番やメニューの選択などをアドバイスするのも、健康経営の1つです。口コミにあったのは、その健康経営制度を取り入れた企業に勤める女性が、自分がガンであり脱毛状態にあること、またそのために医療用ウィッグを着用していることを会社にカミングアウトしたという内容のもの。
カミングアウトしたことで、会社からは月々1万円の支援金が給与に加算され、フレックス制度活用の優先資格をもらえたそうです。ちなみにこの支援金とは別に、医療用ウィッグ購入支援金として3万円がもらえたそうです。また同じ部署で働く同僚は、本人に協力して仕事を支え合うというルールがあるため、風通しがよくなって非常に働きやすくなったそうです。
闘病者を支えることで“会社全体が健康”になれる
口コミのその部署には、うつ病を発症していたり、パニック障害の診断を受けている社員もいたりするそうですが、この取り組みで「見える化」がすすんだため、部署全体の仕事の効率化が30%以上アップしたという具体的な成果も報告されています。
健康経営制度は、それ自体を推進して表彰されるのが企業の目的ではなく、社員の心身を健康に導き、社内全体を風通しの良い健康的な環境にすることで、社員の幸福度を向上させることが目的です。このことで社員の離職率は急激に低下し、有能な社員の流出に歯止めがかかったと言います。
- 健康経営とは、心身共に健康である社員を、会社側がさまざまな支援策を講じてつくりだしていく取り組み。
- 健康経営を提唱・推進するのは経済産業省であるが、とくに細かな規定があるわけではないので、企業としても取組みやすい。
- 社会的にも健康経営の企業を支援し、積極的に投資していこうという投資家が増えてきた。会社の社会的評価・株価が上がるという利点がある。
- 一般の目からも好意的に捉えられていて、新規採用・中途採用に応募してくる人数が飛躍的に増えた会社もある。
- 何より社員が働きやすくなり、幸福度がアップしたことで、離職率・退職率が急激に低下。仕事の効率化、連帯感といった風土が早々に育まれることが大きい。
この制度は上場企業・未上場の企業を問うものではありません。また経済産業省が制度設計を行い、日本健康会議を発足させてスタートさせていることから、根拠のない呼びかけで始まったものでもありません。今回はたまたま口コミにある話題を取り上げましたが、周囲にはいろいろな取り組みがあるものです。