ネットの“情報リスク”は他の媒体より大きい
口コミ、ブログ、ツイッター、フェイスブックなど、現代はネットを通じて誰でも気軽に自分の意見を発信できるようになりました。便利でとても役立つ反面、その情報の信ぴょう性については、一度は疑ってみる必要があります。私の場合は医療用ウィッグの髪の毛の質・種類について調べていたときに、「人毛100%で完全な手植え、これで価格は8万円台(税別)」と書かれてあった口コミを、あやうく鵜呑みにして大恥をかくところでした。
その口コミには「ただし人毛は中国などのアジア各国から調達したもので、髪の毛の質として上質とは言えない」と補足されていました。かなり詳細に説明されていましたので、信ぴょう性は高いと思い込み、医療用ウィッグを探していた友人にすすめるつもりでいました。
ところが念のため他のサイトなどで調べてみると、人毛100%の手植えというのは、「人毛だけでは強度や劣化に弱く、人工毛とのミックスでないと逆に耐久性などの点で劣る」、また「手植えの技術はとても高度で繊細な職人技が必須となるため、現実には極めて高価な製品になる」との専門家のレポートがありました。
思い込みや推測をベースにしたネット上での意見に法的な責任はありませんが、こちら側の取捨選択、判断力というものがいまほど問われている時代はありません。「ネット発信のこのような情報におけるリスクは、他の媒体の10倍以上はあり、それによって被る被害は計り知れない」と警告を発する調査機関もあります。
広告と個人の情報発信とはまったく意味が異なり、また新聞や雑誌の記事と宣伝物も、個々に位置づけが異なります。自分がどの媒体に接し、そこから得た情報を何のために使うのかをきちんと立て分けて活用するようにしましょう。
“人毛100%で激安”という口コミの真偽
医療用ウィッグという特異なジャンルは、それで困ったり苦しんだりしている人の思いを考えれば「すべての情報は善意の情報」と思い込みがちですが、口コミには善意もあれば悪意のものもあり、その中間でただ話題に乗って発信する“やじ馬情報”も含まれます。愉快犯のように、話題の製品や人物に対してありもしない情報を口コミにして流すことで、ネット上での反応を楽しむというユーザーもいます。
基本的に現代の医療用ウィッグで主流になりつつあるのは「ネットベース」と言われるもので、シリコンなど人工的につくられた皮膚の裏側に通気のためのネットを組み込んだものです。人工毛やミックス毛(人毛+人工毛)を処理した製品で、皮膚の素材や髪の素材・質、髪の毛を接着するか手植えにするかで価格が異なります。
安いものは人工毛100%を接着剤で人工皮膚にくっつけたもの。それにくらべてば高価にはなりますが、“数万円という価格帯”によくある普及型の医療用ウィッグでは、ミックス毛を使って耐久性や撥水性を強化し、より自然に美しく見せるため職人の手植え作業が基本になっています。1本ずつ丁寧に植毛し、つむじや髪の毛全体の流れをつくっていきます。この技や通気性・衛生面、アジャスト性などの付け心地に各社の総力が結集されています。
人毛で格安を売りにする医療用ウィッグは危険であり、ミックス毛であっても品質という面では返ってプラス面が大きい。ネットベースのネットの質や人工皮膚のクオリティは、ウィッグの軽さや通気性を確保するためにとても重要。価格帯で見定めるのであれば、激安や安価は避けて、3万円-5万円をベーシックな値段と考えておけば間違いないというのが私のこれまで調べた医療用ウィッグについてのまとめです。人毛とか格安・激安といったネット情報、根拠のない口コミには注意しましょう。